ホルモン受容体陽性の人は、ホルモン療法が治療の中心となります
ホルモン受容体(エストロゲン受容体;ER and/orプロゲステロン受容体;PgR)が陽性
(注1)の場合に、薬物療法の中心となるのがホルモン療法です。
ホルモン療法の効果は、がん細胞を直接攻撃する抗がん剤よりはマイルドですが、副作用が少ないのでQuality of Life(QOL:→
参照)を高く維持でき、術後に長期間投与を継続することでホルモン受容体陽性の患者さんの再発抑制効果が期待できることから、乳がんの薬物療法の重要な治療法となっています。再発した患者さんの治療にも使われます。
ホルモン療法の種類
●抗エストロゲン剤
抗エストロゲン剤は、ホルモン療法の最も標準的な薬の一つです
乳がんの薬物療法に広く使用され、これまで最も標準的な薬に位置づけられてきたのが“
抗エストロゲン剤”です。この薬は、乳がんの増殖を促すエストロゲンが受容体と結合するのを妨げることにより、ホルモン受容体陽性の乳がんの発育を抑える作用をもち、多くの臨床試験で乳がんの縮小効果、再発抑制効果があることが確認されています。閉経状況を問わず効果を示します
(注2)が、単独投与した場合は、閉経前の若い人よりは、閉経後の人で高い効果が得られます。
また、細菌はホルモン療法剤の種類が増え、閉経状況によるホルモン療法剤の使い分けが可能になっています。
●LH-RHアゴニスト製剤
閉経状況別に用いる薬剤として、閉経前の人にLH-RHアゴニスト製剤、閉経後の人にアロマターゼ阻害剤があります
卵巣機能が働いている閉経前の人では、エストロゲンは、
下図のように、乳がんの増殖を促すエストロゲンは主に卵巣で作られます。“
LH-RHアゴニスト製剤”は、卵巣でエストロゲンを作ることを促す下垂体のホルモンの働きを抑える作用があります。このため、閉経前の患者さんにこの薬を投与(皮下注射)すると、卵巣におけるエストロゲンの産生が低下して、体内のエストロゲンの量が著名に減少し、ホルモン受容体陽性の乳がんの増殖が抑制されます(卵巣を外科的に切除しても同じような効果が得られます)。閉経前の患者さんでは作用の増強を期待してLH-RHアゴニストと抗エストロゲン剤を併用することが標準治療の一つとなっています。
●アロマターゼ阻害剤
一方、卵巣機能が低下した閉経後の人では、
下図のように、乳がんの増殖を促すエストロゲンは、副腎から分泌された男性ホルモンをもとに脂肪組織などで作られます。“
アロマターゼ阻害剤”は、男性ホルモンからエストロゲンを作るときに必要な酵素(アロマターゼ)の働きを抑える作用があります。このため、閉経後の患者さんにこの薬を投与すると、乳がんの近くのアロマターゼの働きが阻害されて、エストロゲンの産生が低下し、ホルモン受容体陽性の乳がんの増殖が抑制されます。最近では、抗エストロゲン剤に代わる治療法として閉経後の患者さんに広く使用されつつあります。
ホルモン療法の投与方法
ホルモン療法は、外来通院で治療できます
ホルモン療法剤は、抗エストロゲン剤やアロマターゼ阻害剤のように毎日、経口投与するものと、LH-RHアゴニスト製剤のように4週または12週ごとに1回、皮下脂肪内に注射するものがあり、いずれも外来通院で治療できます。
投与期間は、抗エストロゲン剤やアロマターゼ阻害剤は5年、LH-RHアゴニストは2〜3年を目安としますが、病気の程度や薬の使い方によって異なります。
(注1:エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体の両方、またはどちらか一方が陽性の場合にホルモン受容体陽性と判定します。)
(注2:抗エストロゲン剤の中には、閉経後乳がんの適応しかない薬剤もあります。)
ホルモン療法剤の投与法と主な副作用
| 薬剤 |
投与法 |
主な副作用 |
| 抗エストロゲン剤 |
毎日経口 |
ほてり、悪心・嘔吐、食欲不振、無月経、月経異常、膣分泌物 など |
| LH-RHアゴニスト製剤 |
4週または12週に1回、
皮下注射 |
低エストロゲン症状(ほてり、頭重感、めまい、肩こりなど)、骨痛、月経回復遅延 など |
| アロマターゼ阻害剤 |
毎日経口 |
ほてり、悪心、疲労感、頭痛、無力症、倦怠感、性器出血、脱毛 など |
| プロゲステロン製剤 |
毎日経口 |
食欲増進(体重増加)、満月様顔貌、子宮出血、浮腫、血栓症、月経異常 など |
★異常があれば、すぐに医師、薬剤師に相談してください。