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満足のいく性生活を見つけるために

治療によって、性生活にさまざまな変化が出ることがあります。起こりうる変化を知っておけば、実際にそのようなことが起こった場合に適切に対応することができ、変化を最小限に抑えられます。

同じ治療を受けていても、変化には個人差があります。ご本人の心身の回復度、パートナーの受け止め方、カップルとして性を重要視する程度、などにもよります。性生活を楽しむためには、からだだけでなく気持ちのコンディションや、お二人のコミュニケーションがとても大切です。急がず、ゆっくり、お互いが満足できる方法を見つけていきましょう。

一般的なヒント
治療の種類にかかわらず、以下のような点は大切です。

暮らし全般をふりかえる

性生活を楽しむには、ある程度の心身のエネルギーとゆとりが必要です。 性生活にむかう前に、今の暮らし全般をふりかえってみるのも大切です。 暮らしのペースに無理はないでしょうか? パートナーと一緒に、ゆっくりとした時間をすごせていますか? ご自分にとっての優先順位を大切にできているでしょうか? ご家族や周囲の方々を気づかうあまり、ご自分を後回しにしていませんか? 今は、ご自身の優先順位をあげるべきときです。

ゆったりとした雰囲気をつくりましょう

やや落とした照明や静かな音楽は、からだと気持ちをリラックスさせるのに効果的です。

少しずつ進めていきましょう

性生活とは、性交のことだけではありません。ですから、いきなり挿入を試みる必要はありません。手をつなぐ、優しく抱き合う、背中や手足のマッサージをする、などによって、お互いの温もりを感じることができます。
治療後に性生活を再開するときは、どのカップルも「おそるおそる」のことが多いものです。生まれてはじめて性の体験をしたとき、最初から自信たっぷりに楽しむことができた人は多くありません。治療後の性生活も同じで、慣れていくにはカップルの双方にある程度の時間が必要です。ゆったりかまえましょう。

何はなくてもコミュニケーション!

変化がおきているとき、一番の敵は沈黙です。
性行為にともなって違和感や痛みがあったら、我慢しないでできるだけパートナーに伝えましょう。性交痛・肩関節の痛み・皮膚の違和感・からだの疲れなど、ご本人が変化を伝えない限り、パートナーはわかりません。性についてはっきり話し合うカップルはそれほど多くありませんが、察してもらうにも限界があります。変化がおきているときこそ、勇気を出して相手に伝えることが肝心です。コミュニケーションを心がけた結果、以前より性の満足度が高まったというカップルもいます。また、前向きで正直な気持ちを伝えあう コミュニケーションは、性生活に限らず、カップルの関係全般にわたってとても大切なことです。

我慢は禁物

「我慢をしない」ということも、重要です。
病気とわかる前の性生活を思い出してみてください。ご自分の満足をいつも大事にできていましたか?ときには相手の満足のほうを優先していなかったでしょうか?性行為にともなう痛みや不安感があると、快感に集中する気持ちがそがれ、ますます苦痛が強まる悪循環が生じます。また、我慢は長続きしませんし、いよいよ我慢しきれなくなったときに、思わず攻撃的な言葉が出てお互いに傷つくこともあります。
苦痛を伝えるときには、相手を非難するのではなく、「ここがつらい」「こうしてほしい」のように、できるだけ具体的に、前向きに伝えてみましょう。パートナーの方は、ご本人のお話をよく聞いてください。

以前のパターンにこだわる必要はありません

カップルそれぞれに、慣れた性生活のかたちがありますが、再開した当初は前のようにいかないことが多いものです。しかし、前と同じである必要はまったくありません。
性生活への気持ちがあっても夜には疲労がたまる場合、夜にこだわらず余力のある時間を使いましょう。同様に、からだの痛みがあるなら、鎮痛剤がよく効いているときに寄り添うのもよいでしょう。
性交痛がある場合は、我慢しないでパートナーに伝え、十分前戯の時間をとってもらいましょう。水溶性の腟潤滑ゼリーも大変効果的です。潤滑ゼリーはご本人とパートナーのどちらが使ってもよく、たっぷり使うのがコツです。また、女性のほうが動きをコントロールしやすい体位(女性上位や側臥位など)をとることで、痛みへの恐怖感を和らげることができます。
性生活のときの着衣も、そのときのお二人にとって、もっとも楽なかたちでかまいません。当初は手術のあとを保護する意味からも、下着などをつける方が少なくありません。当初はそうでも、ある時期から下着などをつけなくなるカップルもあります。いずれにせよ、「今はこうしたい」「こうしたほうが楽」と、パートナーに伝えてお二人で話し合うことです。

医学的な問題への対応

性生活への関心を失う原因として、乳がん治療以外の医学的な要因もありえます。たとえば、性欲の低下は、うつ病の症状のことがありますし、確率は低いものの、降圧剤、不整脈治療薬、高脂血症治療薬、抗不安薬、消化性潰瘍治療薬、利尿剤などの薬剤の副作用として性欲低下が出現することもあります。ただし、それらの薬を飲んでいたとしても、性欲低下の原因になっているとは限りません。自己判断で服用をやめるのではなく、主治医によく相談してください。

監修: 国立がん研究センターがん対策情報センター がんサバイバーシップ支援研究部  高橋 都
国立病院機構 九州がんセンター 臨床研究センター  大野 真司・看護部