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ピアサポートって何?
患者どうしで支えられ、支えることで療養生活を実りあるものに

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兵庫医科大学 社会福祉学准教授
兵庫医科大学病院 医療社会福祉部長、
地域医療・総合相談センター 副センター長

大松 重宏 先生

1983年関西学院大学社会福祉学部卒。神経難病等の医療分野でソーシャルワーカーとして勤務の後、98年から国立がん研究センター中央病院で、社会福祉の視点からがん患者やその家族の相談支援に携わる。同がん対策情報センターを経て、2009年から城西国際大学福祉総合学部でソーシャルワーカー養成の傍ら、ルーテル学院大大学院博士課程に在籍、がん患者のセルフヘルプグループ、ピアサポートについて研究。2011年4月から現職。社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員。

全国では、患者さんどうしが交流する、ピアサポートがたくさん行われています。
特に乳がんの勉強会や交流会を開く患者会は熱心なところがたくさん。
実体験からの情報を得たり、一緒に勉強したり、悩みを話し合ったり…。
その内容だけでも参考になるエッセンスはたくさんあります。

がんになって、いろいろなことに不安を感じたとき、同じ病気を抱える人と気軽に話し合える場があったらどんなに心強いでしょうか?私は長年、国立がん研究センター中央病院で医療分野のソーシャルワーカーとして、がん患者さんやそのご家族の方の相談支援業務に携わってきました。医師や看護師、私たちのようなソーシャルワーカーといった専門職だからできることがあるように、患者さんどうしの支え合い(=ピアサポート、対等な支援)だからこそできることもたくさんあるというのが、私がこれまでの経験から得た実感です。

ピアサポートって何?患者どうしで支えられ、支えることで療養生活を実りあるものに | ピアサポートって何? | トリプルネガティブ乳がん | 乳がん.jp 全国の乳がん患者会やその活動を、
おそらく全国で一番たくさん、
自分の足で調査していらっしゃる大松重宏先生。

そんな思いからここ3年、〝ピアサポート〞を研究テーマに選び、全国の患者会をまわって調査を重ねて来ました。

実は、がんの患者会の約7割は乳がんの患者会です。乳がんは発症してからの闘病生活が長期にわたる場合が多く、仕事や家事と両立しながら闘病生活を送っておられる方が多いということが、その一番の理由でしょう。

患者会の方々に活動状況をうかがうと、毎月のようにおしゃべりの会を企画されていたり、一緒に気分転換の旅行に行ったり、医師などの専門職を招いて勉強会を行ったり。「今日は、20代、30代で発症した人の集まり」「今日は再発の方の」などとテーマを変えてほぼ毎日のように何らかの活動を行っている熱心な会もあります。

充実した活動をしている会は東京などの都市部に多い傾向にありますが、地方にも熱心な団体があります。入会を前提にしなくても、インターネットで検索したり、通っている病院の相談室などで聞いてみると、参考にできる患者会や活動の情報を得ることができるでしょう。

実生活で試して得たことからのアドバイス

実生活で試して得たことからのアドバイス | ピアサポートって何? | トリプルネガティブ乳がん | 乳がん.jp 「医師や看護師も知らない情報が、
患者会などのピアサポートで得られる」と話されます。

患者会には、同じ仲間に話を聞いてもらい語り合えて安心するというメリットだけでなく、医師や看護師も知らない有意義な情報がたくさんあります。

なぜならば、それは病院で教えてもらったことを実生活で試して得たものだからです。これを活かさない手はありません。

入院生活が短くなる傾向の今、交流の場が院内にあって通院治療の中で参加できる場合を除くと、病院の中での情報交換の機会は少なくなっています。そんな機会が患者会にはあるのです。

例えば「かつらを作る」という話ひとつにしても、「作るなら抜けてか らじゃなくて、抗がん剤をやる前にかつら屋さんに自分の髪を見せ ておいた方が良いよ」といったアドバイスが得られたり、職場の同僚に 隠して仕事に復帰するなら、どんな質問が飛んでくるか先輩患者 さんの経験を聞くことで答える心構えができるということも多いようです。

治療が一段落したら、あなたがサポートする番

治療が一段落したら、あなたがサポートする番 | ピアサポートって何? | トリプルネガティブ乳がん | 乳がん.jp

そうして、いろんな情報を受け、悩みも聞いてもらって乗り切り、治療が一段落という時期が来たら、今度はあなたがサポートする側に回る番です。そうすることは、あなた自身の自信回復にもつながるでしょう。

ただ、気をつけなければいけないこともあります。例えば、気を使って言っているつもりが、相手にはお節介にしか聞こえなかったり。

20代、30代で発症したのか、子育ても一段落した後なのか……という条件や環境の差から、同じ病気でもかなり悩むことが違ってくるからです。

サポートする側に回ろうとする時、大切なのは自分の経験を教えてあげようとするのではなく、ただ、元気にそこにいて、まず相手の話を聞くということでしょう。

同じ病にかかりながらも克服し、元気に活動している先輩患者さんが目の前にいらっしゃるということは、不安がいっぱいの新しい患者さんにはそれだけで心強いものです。

患者会をウインドウショッピングするだけでも役立ちます

患者会をウインドウショッピングするだけでも役立ちます | ピアサポートって何? | トリプルネガティブ乳がん | 乳がん.jp お茶でも飲みながら、同じ病気の方と悩みを語り合うだけでも、
きっと気持ちがやわらいで、ラクになるはず。

また、患者会の中には、間違った情報や不確かな民間療法を勧めるところも残念ながらあるようです。

しっかりした患者会は「特定の治療法をすすめない」などのルールを定めています。治療に関しては医師に相談して決めるようにしましょう。

患者会は、まず見学してみて(一人で行きにくいと思ったら、先方に了承を得て最初は家族と一緒に訪れるのもいいでしょう)、そこが合わないと思ったら、また別のところを見学し、自分に役立つところを探せば良いと思います。患者会のウインドウショッピング、大いに結構です。

積み上げられた素晴らしいプログラム、ノウハウを活かして

ところで、今、患者会は人材不足に悩むところが少なくありません。みなさん、ご自分の仕事や家事がありながら、そして闘病しながらの活動です。

本当にその活動の充実度は千差万別で、年に一、二度の活動で手一杯になってしまっている例もあり、残念ながら存続の危機に立っているところも少なくありません。

しっかりしたところは人手不足も他の患者会との緩やかな連携で上手く乗り切っているようです。そしてそれとは別に、患者会が近くにないといった地域も、やはりあります。

私は、熱心に活動している実績ある患者会が積み上げてきたプログラム、ノウハウはかなり素晴らしいものだと常々感じていますので、それを新たな患者会に上手に伝えるしくみが、今、必要なのではないかと考えています。

立ち上げる方法から、どんな活動を行えば良いのかなどの具体的な運営の方法を伝えて、患者会どうしが連携することで継続のエネルギーが生まれるようなしくみです。

ソーシャルワーカーとして、そのようなしくみ作りを側面から支援していきたいと思っています。

これから患者会を立ち上げようとされる方に

これから患者会を立ち上げようとされる方に | ピアサポートって何? | トリプルネガティブ乳がん | 乳がん.jp 「熱心な患者会が積み上げてきた素晴らしいプログラムやノウハウを、
新しい患者会に伝える仕組みづくりを支援したい」と大松先生。

もし、今、患者会を立ち上げてみようと思われる方がこれを読んでくださっていたら、して欲しいことをお伝えしたいと思います。

まずは、最低月に1回は集まる機会を作って欲しい。年に2回くらいは旅行などのイベントを行って欲しい。それにたまには、乳がん専門の医師を招いて勉強会を行って欲しい。

もしできたら、定期的にニューズレターを出したり、ホームページを作って更新したり、活動を広く知らせるようにしていって欲しい…。

今、とても充実した活動を行う乳ガンの患者会が日本にいくつも存在するのは、ひとえにご自身の病気と闘いながら企画や運営に携わっている方々、雑務や仲間のサポートで多大な役割を担っている方々がいらっしゃるからこそだと思います。

まず、その方々に感謝し、作られたプログラムやノウハウをお手本として、多くのところで活かしていければ素晴らしいと思います。

(上記内容は、取材時の情報です。)