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  4. 乳首がかゆいのですが、これは乳がんの前兆でしょうか?

乳がんの徴候として、しこり、乳頭の湿疹・ただれ、出血、痛み、皮膚のくぼみなどがあります1)。乳首(乳頭)のかゆみが乳がんの前兆であるかは明らかではありません。乳頭のただれが改善しない場合などは乳房パジェット病(乳がんの一種)の可能性もありますので、専門医の受診をお勧めします。

1.受診する目安

乳頭のかゆみは生活習慣の改善や環境を整えることにより改善することがあります。しかし、強いかゆみが続く場合や痛みを伴う場合、妊娠中や授乳期ではないのに乳頭から液がしみ出る場合などは、専門医に相談しましょう1)

2.かゆみの原因と対処法

かゆみの原因は、大きく生活習慣や環境によるものと、乳頭や皮膚の病気に分けられます。

2.1.生活習慣や環境

乾燥はかゆみを引き起こす原因となることがあり、これは乳頭でも同じです。保湿剤や加湿器などで乾燥を予防しましょう。また、肌着(化学繊維)の摩擦が皮膚への刺激となりうるので、綿や絹といった自然素材の下着を選ぶことも対策の一つです2)。また、ストレスを解消することでかきたい衝動が軽減されることもあります2)

2.2.乳頭や皮膚の病気

接触皮膚炎

接触皮膚炎はなんらかの物質が皮膚に接触することで湿疹ができる、一般的に“かぶれ”と呼ばれるものです。赤みのある湿疹、かゆみなどの症状を伴い、原因物質が触れた部位に症状が現れることがあります2)。対処法として、原因物質との接触を避けます。乳頭の場合、下着の素材を変えるなどして症状が治まることがあります。薬物療法としてはステロイド薬(外用薬または内服薬)などが用いられることがあります3)

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのある湿疹が特徴的な皮膚の病気で、赤みのある湿疹が顔や背中に左右対称にできやすいのが特徴です。皮膚が乾燥しバリア機能が低下しているところに、アレルギーの原因となる物質が侵入することで起こるという説があります2)。対処法として、皮膚を清潔に保ち、頻回に保湿し皮膚のバリア機能を保ちます。また、ストレスによりかきたい衝動が強くなることがあるので、ストレス軽減を図ることも大切です2)。薬物療法としてステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などが用いられます。また、これらの薬と合わせて、保湿剤や内服薬などを用いることがガイドラインで勧められています4)

皮膚真菌症

皮膚真菌症は、白癬菌、カンジダなどのカビの一種が原因となる皮膚の病気です5)。足の指や股間、乳房の下など皮膚と皮膚が触れ合い、湿度が高くなる部分にみられますが、乳頭にみられることもあります2)
真菌は高温多湿の環境で増殖しやすいため、通気性の良い下着を着用することで改善することがあります。

乳房パジェット病

乳頭や乳輪の湿疹・ただれがなかなか改善しない場合、乳房パジェット病という特殊なタイプの乳がんの可能性があります。出血がみられたり、改善しにくい湿疹が長く続く場合は、乳腺専門医を受診しましょう6)

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参考資料

  1. 1)中村清吾. 乳がん 正しい治療がわかる本. 法研. 2008.
  2. 2)小林美咲 監修. 図解 がまんできない皮膚のかゆみを解消する 正しい知識とスキンケア. 日東書院. 2017.
  3. 3)日本皮膚科学会. 接触皮膚炎診療ガイドライン2020. 日皮会誌. 2020: 130(4): 523-567.
  4. 4)日本皮膚科学会. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021. 日皮会誌. 2021: 131(13): 2691-2777.
  5. 5)日本皮膚科学会. 日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019. 日皮会誌. 2019: 129(13): 2639-2673.
  6. 6)日本乳癌学会(編)患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版.

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