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化学療法(抗がん剤の投与)

ホルモン非依存性の人は、化学療法が治療の中心となります

再発する可能性があると判断される人のうち、ホルモン療法が効かないホルモン非依存性の人の治療の中心に用いられているのが化学療法(抗がん剤の投与)です。また、ホルモン依存性であっても、再発の危険性が高い場合には、化学療法をまず行い、次いでホルモン療法を行うのが一般的です。

抗がん剤は、薬を幾つか組み合わせて投与する多剤併用療法を点滴で行いますが、場合によっては単一の経口薬が長期に投与されることもあります。

多剤併用療法の点滴注射は、外来で行うことができます

点滴注射は、最近では“外来化学療法室”に専用の点滴ベッドが用意されていて、専任の医師、看護師によって、自由とプライベートを保ちながら、外来通院で行われています。

代表的な化学療法はアンスラサイクリン系薬剤を中心とした多剤併用療法と、タキサン系薬剤を用いる方法です。

■アンスラサイクリン系薬剤

抗がん剤は、単一の薬を用いるよりも、幾つかの薬を組み合わせた方が効果の増強が期待できることから、強力な効果を得ることを目的に多剤併用療法が行われます。

新しい抗がん剤としてタキサン療法の効果が期待されています

■タキサン系薬剤

これまでの抗がん剤はアンスラサイクリンを含む治療(アンスラサイクリン療法)が最強の切り札とされていますが、これにタキサン系薬剤を加えた多剤併用療法が、乳がんの治療に広く使用されるようになっています。

手術前あるいは手術後の治療として、アンスラサイクリン療法の前後に組み合わせることで、がんの病理学的消失率(pCR)を高めたり、再発抑制効果が増強することが示されています。タキサン療法もアンスラサイクリン療法と同様に、通常外来で行えます。

HER2陽性の乳がんに有効な分子標的治療薬です

■抗HER2薬

乳がんがつくるHER2というタンパク質(細胞の増殖を促す受容体)に特異的に結合することでHER2タンパク質の働きを抑え、 抗腫瘍効果を発揮し、副作用が少ない新しいタイプの抗がん剤(分子標的治療薬)です。 HER2タンパク質が過剰に発現している“HER2陽性”の乳がんに対して使用されます。単独で使っても有効ですが、他の抗がん剤と併用することで効果が増大します。

2008年3月に術後治療、2011年11月に術前治療における抗HER2薬の使用が保険適応に

わが国では、以前は転移を伴うHER2陽性の乳がん(再発または進行例)の治療にしか保険上の使用はできませんでしたが、欧米においてより早期の手術施行例の治療に組み合わせることで、著明な効果が認められたことから、わが国でも2008年3月より根治手術施行後の化学療法における使用が保険適応となりました。

比較的マイルドな作用をもつ経口投与の抗がん剤を長期間投与する方法です

■経口剤の長期投与

比較的マイルドな作用をもつ抗がん剤を経口的に投与する日本特有の治療法です。通常、5-FU系の薬剤が用いられます。投与期間は1年から2年を目安とし、外来通院で治療できます。外国ではあまり用いられていませんでしたが、QOLが良好なことから、再び注目されています。

監修:順天堂医院 乳腺センター 霞 富士雄