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  5. リスク低減手術について

遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)のかたでは、ご自身が希望する場合には、転移や再発、新たながんの発生を予防するためのリスク低減手術を行うことがあります。これにより、乳がんになっていない乳房(対側乳房)の乳がんと卵巣がんの発症リスクが減少することがわかっています。

乳がんになっていない乳房(対側乳房)に対するリスク低減手術

HBOCの乳がん患者さんの対側乳房における乳がんの発症リスクを減らすために、乳房を予防的に切除する手術を「対側リスク低減乳房切除術」といいます。この手術により転移や再発、新たながんの発生が抑えられるだけでなく、生存率も改善することが示されています。そのため、ご自身の意思に基づき、環境が整備されている条件下で、対側乳房の予防的切除を行うことが推奨されています。

卵管・卵巣に対するリスク低減手術

HBOCの乳がん患者さんは、卵巣がんも発症しやすい傾向があることがわかっています。卵巣がんの発症を予防するために、卵管・卵巣を摘出する手術を「リスク低減卵管卵巣摘出術」といい、この手術により卵巣がんの発症リスクの低下だけでなく、生存率も改善することが示されています。この生存率への効果は「対側リスク低減乳房切除術」より高いといわれています。そのため、妊娠・出産の希望がない場合で、かつご自身が希望される場合は、卵管・卵巣の予防的切除を行うことがガイドラインでは推奨されています。

対象となるHBOCの乳がん患者さんでは、対側乳房、卵管・卵巣のリスク低減手術、およびその際の乳房再建は、一定の条件を満たす医療機関において、2020年4月より保険診療で受けられるようになりました。ただし、これらを実施するかどうかは、ご自身の意思に基づき、決定されます。

※遺伝性乳がん卵巣がん症候群と呼ばれることもあります。
*日本乳癌学会(編) 乳癌診療ガイドライン年版